PFR-V1レビュー( + SU-DH1 )

時々やらかしてしまうSONYがRollyに沸く頃に発表したため同種の色物として扱われたか否かは、やはりどう考えても色物な奇形ヘッドフォン、ではなくてパーソナルフィールドスピーカーPFR-V1。超小型スピーカーを耳の少し前方に固定して聴くことでヘッドフォン特有の不自然さを回避、というお話。ウルトラニアフィールドリスニング。実際に音を聴いてみれば、全然色物じゃない。むしろ傑作。それに孤高の見た目。飾りかけているだけで、こんなにも様になるものは他にない。オブジェとしてもお薦め。

見たまんまの凄まじい音漏れっぷりは、こんなの誰が使うんだよって話ではある。特にヘッドフォンといったら電車内で使うとか、そういうイメージしか持ってない人には。しかし世の中にはオープンエア型という、音ダダ漏れヘッドフォンが特に高級モデルに山のようにあり、PFR-V1も価格(55000円)的にそういうラインにある。つまり家でじっくり聴く用。音漏れが酷いといっても、さすがにスピーカーよりかは漏れない。隣の部屋で人が寝ている、などという環境じゃなければ室内利用ならば何ら問題ないはず。

装着感

とりあえず言えることは軽い!96gは伊達じゃない。そして圧迫感ゼロ。この新感覚のためだけでもPFR-V1は買い。特に嬉しいのがメガネをつけていても全く平気なこと。私の使っているメガネは、(特に液晶モニタ関係で)面白発言をしてくれるKazuo Kawasaki大先生のデザインしたMP635で、ゴムメタルの柔らかさと軽さが素敵な掛け心地。なのはいいとして、ヘッドフォンのように押さえつけてくるものに対して弱い。フレームが押さえつけられて、たわんで、嫌な掛け心地に早変わり。だからヘッドフォンはダメ、絶対。それがPFR-V1なら、押さえつけるイヤーパッドがないのでメガネの人でも不快感ゼロ。唯一のメガネ対応ヘッドフォン。それだけで買い。

ところでこれから試聴する人に装着法をアドバイスすると、まずは、ヘッドバンドを頭に軽くのる長さに調節。次に無段階で調整可能な、ユニット部を支えているアームを調節してダクトを耳に合わせる。大事なのは、ヘッドフォンを支えるのは頭のバンドと耳上部に乗せるガイドだけであり、ユニット(ダクト)は軽く添えるだけ、ということ。調節を失敗すると耳でヘッドフォンを支えることになり、装着感が悪いうえに、すぐに耳が痛くなる。買ってからも本当にベストと思える位置に調整するまで毎日毎日弄ったほどに、繊細で合わせづらいが(そして髪の毛の厚みが増しただけで終わる)きちんと合えば、軽くて、耳が痛くならない究極の掛け心地を体感できるはず。いや、実際は3時間ぐらいでダクトあててるところがちょっと痛くなるけど。

音質

アコースティックな、女性ボーカルものを聴くと、まるで耳元で囁いてくれているかのようで震える。これはもう誰もが一発でノックアウトされると思う。では普通の曲を聴いてみればというと、何にも形容できない響き。ヘッドフォンの密度の濃い音と、スピーカーの開放的な音が良い具合に混ざり合ってる。この音場は他にない、これだけで買い(しつこい) 弱点は、やはり低音がいささか弱い。とはいえ決して出てないわけではない。スピード感のある、そして重みを表現する必要最低限の低音はある。

私としては、どちらにせよ濃厚な低音はサブウーファーで再生する音に、ヘッドフォン/イヤホンではかないっこないと思っているので、この割り切った方向性は、わざわざヘッドフォンで聴くことの価値(スピーカーとは違う音)を生んでいるという点で好ましい。

ブースター

PFR-V1には、通常のヘッドフォンに比べ鳴らしにくいため、音量を増幅するブースターが付属している。個人的な感想を言えば、よほど上質のヘッドフォンアンプを使っているようでなければ必須。ただ単純に音量を上げるというだけではなく、PFR-V1が素では苦手としている中低音を具合良く持ち上げPFR-V1に合う音質に作り変えている。間にモノを挟む=劣化、という純粋至上主義はあまり良くない。例えば200万もするスピーカーThe Ultimate Monitorには、The Bombというプリアンプとパワーアンプの間に挟む低音を持ち上げるイコライザーが用意されているし、評判の高いイヤホンER-4Sは人間の耳の特性に合わせてフラットな音を届けるために、ケーブル中間部にイコライザ回路が挟まれている。

そしてブースターは持ち運び可能な汎用ヘッドフォンアンプとして機能しないこともない。但しPFR-V1専用に開発されただけあって相性はある。もとから低音が豊かなShure E500で試してみたところ低音過多で聴けたものじゃなかった。逆に低音が弱く、PFR-V1とよく似た音質のER-4Sではかなり良い音質で聴ける。インピーダンスの関係上、ときにボリュームMAXでも音量の足りないことがあるER-4Sなだけに、嬉しい。

SU-DH1

ついでながらバーチャルサラウンドとの相性も試してみる。写真はドルビーヘッドホン対応のサラウンドアダプターSU-DH1。ドルビーヘッドフォンの効果を知るには、公式のデモンストレーションフラッシュをどうぞ(音出るので注意) このフラッシュをPFR-V1で聴いた時、衝撃を受けた。本当にスピーカーで鳴っているかのような音!正面に、真横に、音が自在に定位した。そして衝動的に買ったものの――

HALO3で散々チェックしてみたところ、回り込み感が弱い。理由は、後方。真後ろへは音があまり広がってない。デモンストレーションフラッシュをよく見ると、Left Surround,Right Surround。なるほど真横への効果なのね……。上図は音像イメージ図。水色がPFR-V1で黄色が他のヘッドフォン。PFR-V1は他のヘッドフォンに比べて広がりの幅が広い。だから逆に真後ろへの変化の狭さが他のヘッドフォンよりも気になってしまうのかもしれない。とはいえ、圧倒的な音の広がりがあるので、PFR-V1の方が良好な結果であることに変わりはない。真後ろに関しても慣れの問題で、慣れればそこまで問題でもない。SU-DH1の一万円以下という安さもあることだし、安い5.1chサラウンドセット買うぐらいなら、これとPFR-V1買ったほうが幸せになれそう。音質ではPFR-V1とでは勝負にすらならない。ただ、ゲームにおいてはサブウーファーの低音も魅力の一つではあるけれど……。

amazon

PFR-V1は、今現在だと何気にamazonが最安だったりする。20000円オフはお買い得すぎる。買っちゃえ買っちゃえ。いや、ほんと超お薦め。

Comment (2)

ねじ : (11/18 07:36)

メガネッ子にやさしい設計なのはいいなぁ。
最大連続DTM作業時間=ヘッドフォン耐久時間から開放される!
って、いつもそんなに長くやってませんが・・・。

neuecc : (11/19 22:34)

1分ぐらい離せばすぐに問題なくなる程度の痛み、というのも良い点です。
痛くなったら休憩にコーヒーでも淹れれば、もう痛くない!という。
低音があまり出ないという点で一般受けする音じゃあないと思うので
開発者が後継機出したいとか思っても、きっと出ません(笑)
これ一台限りで終わると思うので色々な意味で買いです。

Name
WebSite(option)
Comment

Trackback(0) | http://neue.cc/2007/11/18_27.html/trackback

Search/Archive

Category

Profile


Yoshifumi Kawai
Microsoft MVP for Visual C#

April 2011
|
March 2012

Twitter:@neuecc