アサシンクリード 批評感想レビュー

雑感

アサシンクリードは本当に素晴らしい。偉大なる駄作。いや、傑作。これは本当に判断に迷う。そもそも私は箱庭自由系ゲームが好きじゃないのよね。GTAとか。アサシンクリードはそれよりもゲーム性薄い。暗殺も逃亡も、ひたすら突っ込んでひたすら逃げるだけでOK。ソーシャルステルスなんて大嘘。ただのハッタリの宣伝文句。ルートだのなんだの考えずに一直線に走るだけ。主人公の運動能力が敵を遥かに上回ってるから、敵は追いついてこれないもん。

じゃあ敵に気づかれたら/追いつかれたら大ピンチになるかと言えば、そんなこともない。主人公の戦闘能力が敵を遥かに上回ってるうえに、囲まれても一体ずつしか攻撃してこないから実質1vs1の連戦でしかない。故に、律儀にステルス行動を取る必要性はゼロ。あえてステルス行動を取る理由は「雰囲気出るから」という自主性にのみ委ねられる。

つまりクソ。ゲーム部分は誰がやっても不満を感じるぐらいに練りこまれていない。明らかな欠陥が目の前に転がっている。それなのに、面白い。何故……? 理由は、「目、耳、手に訴えかける部分」が完璧だということ。動画を一枚一枚切り取って静止画として見たとして、その全てが絵になる。とても広大なマップだというのに、ここまで美しく細部まで妥協なくヴィジュアルが仕上がってるゲームは初めてだ! 音楽、効果音も完璧。旗取った時のジングルが聞きたくて、そのためだけに旗集めしてしまう。 そして滑らかすぎるモーション。と、それを生かしきるマップ構造。今までは3次元といっても、縦方向は空白も同然だった。横と奥行きだけの二次元。ようやく高さの加わった真の三次元構造が味わえるようになった。

ようするにアサシンゲームではなく、お散歩ゲームなのである。よじ登れるところを探してルートを考えるという、フリークライミングゲームなのだ。アサシン部分なんてオマケ。ただの売り文句。ステルスも同様。「お散歩ゲーム」として唯一無二な完成度を誇るから、楽しいのだと悟ればいい。暗殺/逃亡ゲームがやりたいのならアチラ(どちら?ヒットマンとか?)をどうぞ。その文脈上でアサシンクリードを評価してはいけない。

そうは言っても、どーかと思う部分は山ほどある。お散歩ゲームとして見た場合は、マップの各所に隠されている旗を集めるメインとなる。これがネットで攻略マップとにらめっこしながらじゃないと絶対にコンプリート不能というクソ仕様。こういう、ゲーム上で完結しない要素は簡便して欲しい。いや、楽しいんだよ、旗集め。マップの隅々まで見て回れて楽しいんだ、こんな機会でもなければマシャフやキングダムなんて素通りするだけだし。ただ、最後の一本二本をどうしても取りそびれてしまい、あとはひたすらツライしらみつぶし作業。そんなのが続くにつれストレスばかりがかかるようになり、旗集めは断念。作業なんてやりたくないさ、たかが実績のために。旗の近くにくるとレーダーが反応するとか、そういう仕様にしてくれれば随分違ってきたのに……。

次作への要望

3部作ということなので続編に望むのは、余計な追加要素はいらないから、コンセプト通りに作ってくれ! 今作では全く実現出来ていない「ソーシャルステルス」を体感出来るものを作ってくれればどれだけ魅力的なものになるだろうか。素人的な改善案を考えると、まずは空中庭園の廃止。というのもまあ、現状だと高所に上ってダッシュ→空中庭園駆け込みが逃亡の際に安定パターンになりすぎだからね。上部→下部を行き来するようにすればマップも生かせるしゲームとしてもダイナミックになる。で、あと祈るボタンの廃止。かわりに、そのボタンで群集濃度(レーダーに表示する)の高いポイントで押すと群集に紛れて敵を振り切れるようになればいいかなあ。その方がよほどソーシャルステルスっぽい。あーた、周りに誰もいない環境でも祈るポーズしとけばステルス迷彩状態ってのは不自然極まりないしゲームとしても面白くない。

後半作業になる、というのはサブクエストに意味がないから。サブクエストをクリアすることで「逃亡ルート」だの「敵配置」だのを知ることが出来るものの、それに全く意味がない。ゲーム内での主人公にとって有用だとしても、プレイヤー側としては重要度ゼロだから、一体感、いや、シンクロ率が低下して繰り返しの作業っぽく感じてしまう。もちろん、毎回やることが突進だというのも繰り返し作業感アップ。というわけで、ここはもう少し、戦略要素を入れた方がいい。今作では敵に近寄ると強制的にデモシーンが入って仕切り直しになるから、こっそり近寄ることに何の意味もなかったからなあ……。

と、まあ、ゲーム的には不満の部分が山ほどあるのに面白いのがフシギ! それだけ映像や操作感が優れてるからなのだけどね、純粋に動かしていることが楽しいと思える稀有なタイトル。それだけにゲームとしての練りこみ不足が惜しい。

Amazon

Xbox360版に続き、PS3版もついに発売。不満点は少なくないものの、まさに「次世代」をこれほど強く感じさせてくれるタイトルは他にないので、多くの人が触れてほしいものです。

Comment (10)

Tosche : (12/10 12:07)

ようやくレビューきましたねw
やっぱりステルス部分が弱いのがちょっと残念ですね。
すぐ見つかるし、見つかったときの緊張感が全然ないし。
初心者に配慮してか、あまりに簡単なのが気になりました。
カウンターとかの入力受付がシビアになるとか、敵がハンパなく追っかけてくる(そして強い)とか、難易度は如何様にも上げ方があったはずなんですが。
今はずっとアサシンブレードだけでやってます。

あと、追いかけて殺害するシチュエーションが全然なかったのも残念でした。
逃亡する犯人を追尾して暗殺というのがウリの一つでもあったので…
要するに、バリエーションに欠けますね(サブクエも同様)。オブリぐらい変化を出せとまでは言わないけど、やることがあまりにも単調すぎるのがねぇ。

しかし、それを補って余りあるグラフィックとコントロールへのこだわり。
操作感については本当によく考え込まれてますね。

sside : (12/10 22:56)

うー、Stage6なんですが、個人的にはFlashにぶっ殺されて欲しいかも知れません。
Web Playerの出来が最悪すぎて、一度ブラウザ上で再生するとVistaのAeroがDisableされ、以後ブラウザのプロセスが死ぬまでずっとAero切れたままになるのでフラストレーション溜まります。VistaのAero実装が糞と言えばそれまでですが、Flash H264だと起こらないのでDivXはなー、と。
Codecは画質とエンコード速度含めていい選択肢ではあるので、逐一Stage6からダウンロードして再生すればいいんですが、それだとストリームのメリットがゼロですし。

Assassin’s Creedはちょっと手を加えるだけで、如何様にも現状の評価を覆せるのにそれがされてないってことは、恐らくこの遊び場で遊べ!と言うのを通底させたかったんじゃないかと。GTAを筆頭としたサブミッション沢山系って、実の所攻略部分を含めて自由度低かったりするんですが、ACは1から100まで凄く出来の良いサンドボックスを投げ渡される気分というか。後半まで移動不能エリア設けたり、旗集めは恐らくギリギリの良心というか通底しきれなかった部分かなあ、と。

奴らが確信犯だと思ったのは、オプションで操作ナビや武器選択は疎か、ライフにGPSまで切れるところを見たのと、一般人にアサシンブレードが使えるところでしょうか。この言い方よく使われますが、自分で遊び方を見つけるつうか、無意識にゲームをデバッグするような連中に遊ばせる気満々なのが非常にアレでした。

うわ、コメント長え。

neuecc : (12/11 23:39)

みんな同じ考えになりますよね。
海外レビューを読み直しても、そういうことか、と納得できる。
そして「次回作に期待」という文句で締める、しかない……。
それほどまでに惜しい!と感じさせるタイトルではあるんですが。

//

最新のWebPlayer入れたら、Moon Browserでは100%落ちるという
凄まじい事態になってしまってやむなくブラウザ変更を検討中……。
AdobeがStage6のような容量無限のアップローダーを提供してくれれば
喜んでついてくんですが、Stage6のストレージ提供はどう考えても異常。

せっかくのフリーランニングを生かしたかったのは確かでしょうねえ。
ガチガチのゲーム構造にしたら、せっかくストレスフリーに走り回れるのに
捕まったり殺されたりでストレス溜まってしまいますから。
ペナルティがないことも自由の楽しさを生んでる、のですけど
これはやりすぎで緊迫感ゼロで、それはそれで半端な自由は退屈。

「ソーシャルステルス」による緊張感と
「フリーランニング」による爽快な操作
の両立を図ろうとして中途半端に終わったような感じです。
まあ、どちらかといえばフリーランニング寄りだとは思います。
ただこれは、自由な砂場じゃなくてジャングルジム付きの砂場、という感じ。
自由な砂場なら「砂遊び」でも「サッカー」でも何でも出来るけれど
ジャングルジムがあると、それがあるばかりに「サッカー」は出来ない。
みたいな。

HUD OFFも旗集めと同じくオマケ機能の域を出てないかなあ。
いやあ、私はレーダーやマーカー嫌いなんですよ、
HALOでもOBLIVIONでもそうですけど、こういった便利機能があると
風景を見て考えるんじゃなくて、ただマーカーを追うだけになってしまう。
実際、アサシンクリードで一番楽しいのって、新しい居住区に入って
目視でビューポイント探す時じゃあないでしょうか。
一度ビューポイント取ってしまうと、あとはマーカー追うだけになってしまう。

で、GPS OFFすればいつでもどこでもwktkというとそうでもなく……。
・ビューポイントを取る意味が無いのであまりやる気起きない
・取ったビューポイントなのか取ってないビューポイントなのか分からない
GPS OFFでも探索が楽しめるシステムの構築を次回作に願います。
ていうか最近の洋ゲーは親切だけど、安直な親切だと思うんですよ!
その安直親切の典型例がレーダーにベタベタ貼り付けてある目的地マーカー。
その点、HALO3はマーカーに頼ってないから偉い、マップ構造の工夫で頑張ってる。
勿論、箱庭系と基本一本道FPSとでは全然同列には比べられませんが。

マーカーって「答え」そのものなんですよね。
ユーザーが求めてるのは「答え」じゃなくて「ヒント」です。
ノーヒントじゃあ辛すぎるけど、答えそのものじゃ楽しくない。
自力で解いたと錯覚させるような、「さりげないヒント」の搭載が
これからのゲームデザインに求められることなんじゃないかなあー、と。
Portalは開発者コメンタリーを読む限り、そこを物凄く意識しててさすがでした。

通りすがり : (12/16 05:01)

ほめてんだか、けなしてるんだか。
上記全部が微妙…。

neuecc : (12/16 13:15)

褒めようにも貶すしかないって感じですかね……。
いや、実際問題アサシンクリードは微妙ゲーですから。
ゲーム部分を突っついて語ればマイナス面しか出ません。
褒めるなら一言、雰囲気ゲー。
素晴らしいモーション、素晴らしいグラフィック、素晴らしい音楽。
この三点があるのだから他に何が必要なんだ?
って問われれば山のように必要なことはあるんですけど
まあ、その三点が素晴らしすぎるので許す、みたいな。

そしてきっと皆が思います 「続編に期待」 と。

rk : (12/17 00:49)

最高の素材を使って三流料理人が作って、「どう?これが史上最高の料理だよ」とアピールしてる創作料理みたいなゲーム。
戦闘システムはタイミングよくボタンおすだけ。まるで星のカービィのボタン早押しミニゲームを延々とやってる感じ。
暗殺はただの建て前で、やってることはゴリ押し。近寄ってグサッしかできないからそーなりますわ。主人公をアサシンにする必要性を感じない
ゲーム進行は、目的地いって、塔登って、安いミニゲームをやらされて、ゴリ押し暗殺。これを延々と繰り返す。ハッキリ言ってダレる。
こういう基本的なところがなっていないから、せっかくの綺麗な画面も練られた箱庭も人物設定や人物描写も活かされていない。
GTAとヒットマンとゼルダの伝説のいいとこをとろうとして大失敗とはまさにこのこと。

歴史が好きで、ゲームを映画や本みたいな文化として作りたかった女の人が作ったゲームなんだもん。こんなふうになりますわな。

neuecc : (12/17 17:46)

手厳しいですね、でも、まあその通りです。

戦闘は、Prince of Persia Classicのタイミングよくボタン押すだけ
を随分と楽しめたのでタイミングワンボタンゲーでも楽しめるかな?
と思ったんですが、意外とイマイチでした。
何でだろうなーって考えると、これ、一発で決まりすぎるんですよね。
PoPの何が良かったってカウンターの応酬でカキンカキンやるのがいいわけで、
アサクリのカウンター一撃必殺だと、いくら格好よく演出しても味気無い。

うーん、ICOをデッカク広げたもの、と解釈すればどうでしょうか。
私は途中からそう思うことで随分と気分がすっきりしました。
ただ、そういう観点で見ると、語り過ぎなストーリーが邪魔臭い。
GoWやBioshockのシナリオライターの方法論の真逆を行くような……
http://www.4gamer.net/games/027/G002782/20070309211045/
良い面も悪い面も、とっても和製ゲームっぽい仕上がりかなあ。
ファイナルファンタジー外伝 中世の秘宝
みたいなタイトルでリリースされても違和感ないような(笑)

って、本当に語れば語るほど貶しまくりだなあ、私。
現在二周目の半分にきてウンザリしてる気分がそのまま文章に出てしまった。
リプレイ性に乏しいゲームなのは間違いない、ということでしょうか。
一周だけプレイする分には、豊かな映像に浸れる、
とても楽しい環境ゲーだと思います、本心からそう思います。

biggubi : (05/23 22:22)

自分としてはこのゲーム暗殺面は人それぞれかと……
見つからないように裏から回って相手がこっちを認識する前にグサリってできるルートもありました。それを発見してからはそれを探すことに躍起になり、全くの一度もターゲットから気取られず「暗殺」出来た時は爽快でした。
 ……まぁ、それが出来ないとやはりゴリ押しになってしまうのでしょうけど……
そんな感じで楽しもうと思えば楽しめました。 そこらへんの「自由」をヒント無しで設置したからなのかもしれません。ゴリ押しになりがちなのは。

まぁ、確かに祈るとか、カウンターとか、実質1vs1とか欠陥が否めない部分は多々ありますが……。

 マップの探索においては、進入を気取られないルートを探す時に下見をいろいろするので、それで楽しめたと自分は思いました。それで探したルートがドンピシャでターゲットの頭上から忍び寄り、足音もなく後ろに立ち、アサシンブレードでグサリ って出来た時は下見が無駄にならなかった~ みたいな感慨にふけることが出来ました。
自分は暗殺ゲームの根幹は出来てると思いました。 ただサブクエストみたいなもののバリエーションの無さや見つかった時のペナルティの無さなどはやはり改善してほしいところです。 

 書きたいことがありすぎて何が何だか分からなくなってしまいましたが、言いたいことは一言で、「自分は暗殺ゲームとして楽しめた」ですね。

名無す : (12/21 00:08)

コメントキビしい

あ : (05/13 16:16)

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