DynamicJson - C# 4.0のdynamicでスムーズにJSONを扱うライブラリ
- 2010-04-30
C#4.0の新機能といったらdynamic。外部から来る型が決まってないデータを取り扱うときは楽かしら。とはいえ、実際に適用出来る範囲はそんなに多くはないようです。例えばXMLをdynamicで扱えたら少し素敵かも、と一瞬思いつつもElementsもDescendantsも出来なくてAttributeの取得出来ないXMLは、実際あんまり便利じゃなかったりする。ただ、ちょうどジャストフィットするものがあります。それは、JSONですよ、JSON。というわけで、dynamicでJSONを扱えるライブラリを書いてみました。ライブラリといっても300行程度のクラス一個です。
使い方は非常にシンプルで直感的。まずは、文字列JSONの読み込みの例を。DynamicJson.Parseメソッド一発です。
// Parse (from JsonString to DynamicJson)
var json = DynamicJson.Parse(@"{""foo"":""json"", ""bar"":100, ""nest"":{ ""foobar"":true } }");
var r1 = json.foo; // "json" - dynamic(string)
var r2 = json.bar; // 100 - dynamic(double)
var r3 = json.nest.foobar; // true - dynamic(bool)
var r4 = json["nest"]["foobar"]; // インデクサでのアクセスも可
// 定義されてるかチェック
var b1 = json.IsDefined("foo"); // true
var b2 = json.IsDefined("foooo"); // false
Parseしたら、あとはJavaScriptと同じ感じにプロパティ名をドット打つだけで値が取り出せます。dynamicとJSONは相性が良いですね、JavaScriptと全く同じ感覚です。注意点としては、存在しないプロパティ名を読むと例外が出ます。Dictionaryみたいなものだと思ってください。さすがにそれだと使いにくいところもあるので、IsDefinedメソッドであるかないかチェック出来ます。dynamicなため、IntelliSenseには出てこないということは注意してください。もう一つ気をつけなきゃいけないのは、数字は全てdoubleです。JSONでは数値類は全部一緒くたにNumberなので、適宜自分でキャストしてください。
オブジェクトからJSON文字列への変換
dynamicとは関係ないのですが、JSON文字列へのシリアライズも可能です。こちらもDynamicJson.Serializeメソッド一発。
// Serialize (from Object to JsonString)
var obj = new
{
Name = "Foo",
Age = 30,
Address = new
{
Country = "Japan",
City = "Tokyo"
},
Like = new[] { "Microsoft", "Xbox" }
};
// {"Name":"Foo","Age":30,"Address":{"Country":"Japan","City":"Tokyo"},"Like":["Microsoft","Xbox"]}
var jsonStringFromObj = DynamicJson.Serialize(obj);
匿名型でサクッとJSONを作り上げられます。非常にお手軽。DataContractJsonSerializerはちょっと大仰すぎなのよねえ、という時にはこれでサクサクッと作ってやってください。匿名型だけじゃなく、普通のオブジェクトでも大丈夫です(その場合はパブリックプロパティからKeyとValueを生成します)。
JSONオブジェクトの再編集・作成
生成したDynamicJsonは可変です。自由に編集して再シリアライズとか出来ます。
var json = DynamicJson.Parse(@"{""foo"":""json"", ""bar"":100, ""nest"":{ ""foobar"":true } }");
// 追加、編集、削除が出来ます
json.Arr = new string[] { "NOR", "XOR" }; // Add
json.foo = 5000; // Replace
json.Delete("bar"); // Delete
// DynamicJsonから文字列へのシリアライズはToStringを呼ぶだけ
var reJson = json.ToString(); // {"foo":5000,"nest":{"foobar":true},"Arr":["NOR","XOR"]}
// 配列はちょっと特殊で、foreachなので扱いたい場合はobject[]にキャストしてください
Console.WriteLine(json.Arr[1]); // XOR
foreach (var item in (object[])json.Arr)
Console.WriteLine(item); // NOR XOR
// 新しく作成することも出来ます
dynamic root = new DynamicJson(); // ルートのコンテナ
root.obj = new { }; // 空のオブジェクトの追加は匿名型をどうぞ
root.obj.str = "aaa";
root.obj.@bool = true; // C#の予約語と被る場合は@を先頭につけるとアクセス出来るよ!
root.array = new[] { 1, 200 }; // 配列の追加
root.obj2 = new { str2 = "bbbb", ar = new object[] { "foobar", null, 100 } }; // オブジェクトの追加と初期化
// {"obj":{"str":"aaa","bool":true},"array":[1,200],"obj2":{"str2":"bbbb","ar":["foobar",null,100]}}
Console.WriteLine(root.ToString());
追加は存在しないプロパティ名に直接突っ込めばOK。編集はそのまま上書き。型名とか関係ないので、元から入っているものの型に合わせる必要はありません。削除はDeleteメソッドを呼べば出来ます。配列はちょっと扱いが特殊でして、foreachしたかったりLinqメソッド使いたい場合はobject[]にキャストする必要があります。この辺は仕様です。諸事情によりIEnumerableじゃないんです。ごめんなさい。ちなみにobjectってものなあ、intが欲しいんすよ、っていう時は.Cast
一から新しいDynamicJsonオブジェクトを作成することも出来ます。普通にnewするだけ。注意点としては、変数はdynamicで受けてください。varで受けても何の嬉しいこともありませんので。あとは、普通にぽこぽこ足すだけ。オブジェクトを作る場合は空の匿名型でやります。決してDynamicJsonを足したりしないでください、がっかりなことになりますので。
実装の裏側
300行のクラス一個、ということで、勿論自前でパーサー書いてるわけがありません。ていうか、その手のは自分で書きたくないんだよね、ソートアルゴリズムとかもそうだけど、こういうのはちゃんと検証されてるものを使うべき。(そしてそもそも、ちゃんとしたのが書けるかというと、書けません……)。で、何を使っているかというと先日の記事でLinq to Jsonとか言ってたように、JsonReaderWriterFactoryを使用しています。
ようするに、ただのJsonReaderWriterFactoryのラッパーです。内部ではJSONの構造をXMLとして保持していて、書き出しの際にJsonReaderWriterFactoryを通しています。ただですね、Readerのほうは使い易くてJsonReaderWriterFactoryお薦め!なのですが、Writerのほうは結構厳しいです。ルールに則って書いたXMLを通すとJSONになる、という仕組みなのですが、ルールに則ってないと即弾かれるということでもあって、かなり面倒くさいです。
// 例えばこんなDynamicJSONは
dynamic root = new DynamicJson();
root.Hoge = "aiueo";
root.Arr = new[] { "A", "BC", "D" };
// 内部ではこんなコードに変換されています
new XElement("root", new XAttribute("type", "object"),
new XElement("Hoge", new XAttribute("type", "string"), "aiueo"),
new XElement("Arr", new XAttribute("type", "array"),
new XElement("item", new XAttribute("type", "string"), "A",
new XElement("item", new XAttribute("type", "string"), "BC",
new XElement("item", new XAttribute("type", "string"), "D")))));
このXElementを素で書いていくのは地獄でしょう。DynamicJsonはこの変換を自動で行います。dynamicでラッピングすることで、煩わしい部分を完全に包み隠すことができました。ここまで簡略化出来ると、DSLの域です。C#は大変素晴らしいデスネ。いや、マジで。
まとめ
クラス一個なので、csファイルをコピペって使ってもいいですし(その場合は追加でSystem.Runtime.Serializationの参照を)、DLLを参照設定に加えても、どちらでもお好きな方をどうぞ。数あるJSONライブラリの中でも、使いやすさはトップクラスなのではないでしょうか(自画自賛)。いや、これは、単純にdynamicの威力の賜物ですね。これを作るまではdynamicについて割と勘違いしていたところもあったのですが、なんというか、DSL向けだと思います。で、DSL指向で行くなら全部プロパティだけで組まないとダメですねえ。IntelliSenseが動かないのでメソッドを使うのは今ひとつ。そういう意味で、IsDefinedじゃなくて.property? とかって感じに、末尾に?をつけるとかどうかな!とか考えてみたんですが、コンパイル通らないのでダメでした、残念。「.あいうえお」なら行けるので、日本語プログラミングDSLが待たれるところです。嘘。
static void Main()
{
var publicTL = new WebClient().DownloadString(@"http://twitter.com/statuses/public_timeline.json");
var statuses = DynamicJson.Parse(publicTL);
foreach (var status in (dynamic[])statuses)
{
Console.WriteLine(status.user.screen_name);
Console.WriteLine(status.text);
}
}
最後に例として、Twitterのpublic_timeline.jsonを引っこ抜くコードを。凄まじく簡潔です。C#はどこをどう見てもLightWeightですね、本当にありがとうございました。