2018年を振り返る

毎年恒例ということで、今年も振り返ります。だいたい30日に書いてるのですが、理由は12月30日は私の誕生日なので色々ちょうどよいかな、と。いよいよ35歳なので、例のあれ、35年定年説になりました。そのへんどうでもいい外れ値をひた走ってるので一般論はあんま関係ないんですが、体力は落ちてる実感ありますね!肥ったし。文章はどんどんてきとーになってくし。

と、いうわけで、今年は客観的には激動の年です。会社辞めて会社作って会社作って。私生活でも色々あり、イベントが多くて中々どうして落ち着かなかった年です。そのため成果という点では不完全燃焼が否めないですね、どうしても集中しきれないし時間も上手く捻出できないし。GitHubの草生やしで考えれば、もう全然すっかすっか。その中でUniRx.AsyncやMagicOnion2など、今年もちゃんと大きめの成果を出せたのは、意地です。特にUniRx.Asyncの開発はしんどかった……(MagicOnion2のほうはCysharpとしての時間を使えたので良かったんですが、UniRx.Asyncの開発のための時間捻出はめっちゃ厳しかった)。まぁ、ダラダラ草生やすことをKPIにするよりは、一発ホームランをKPIにしたほうがエンジニアの脳トレ的にも随分かいいんじゃないでしょーか?

ここ数年は毎年、C#を書く技量が向上してていいわー、と言い続けてるんですが、今年も随分と向上しました!特に大きかったのはUniRx.Asyncの開発で、これのためにasync/awaitやTask周りの生態系を全部自前実装したので、曖昧な理解だった、ということに気づいてすらいなかったものも、全て完全に理解したので、私自身の能力の向上としてかなり大きいですね。車輪の再発明は良いものです。

きちんと最前線のC#を書けている自信がありますし、対外的な証明もできているので、能力的な意味では老害とはまだ遠そうでいいんじゃないでしょーか。色々な言語に手を出して成長、ってのも悪くはないでしょうが、一つの言語を集中的に深掘りするというのもまた成長の道かと思います。中途半端な深掘りだと言語固有の話になって応用がー、みたいなところがなくもないのですが、徹底的に深掘りすりゃあ、逆に言語固有じゃなくなって、応用が効いてくる領域に入るのです。もしなんとなく成長の限界を感じて他の言語やったほうがいいかな、とか思うのだとしたら、多分、全然深掘りが足りないじゃないかしら?と、思ったりね、します。実に上から目線ですが!

お仕事

先に仕事の話を考えると、株式会社グラニを退任しました。私だけではなく皆バラバラになっているので(もちろんマイネットさんのほうで引き続きタイトル開発にあたっているメンバーもいます)、グラニという会社の始まりから終わりまで、ですね。結末として、悪くはない(退職時の未払いなどももちろんありませんし、エンジニアメンバーは他社に転職した人も、みな良いところに移れているので、グラニという会社が経験としてもキャリアとしても、良いものを提供できたのではないかなー、と思ってます、まぁ役員としてはこれが最後の仕事の成果という形になるのでそう思わせてください……!)ですが、もちろん、最良ではない、です。

CTOとしてどうだったかというと、会社として一点突破な凡百じゃない他にない個性を作れたし、悪くないところまで突き進めた、という点ではよくやれてはいますが(別に「素で」やってるわけじゃなくて割としっかり戦略組んでやっての結果なのでそれなりに大変なんですよ!)、最良のエンディングではないという結果をもって、ベストじゃあないでしょうね。実際反省点はめちゃくちゃ多いです。世の中、結果が全てで、一般論のハンマーを叩き返すには結果を出していかなきゃいけないので、今回の5年間の結果では一般論に反逆はできないんで、次はもっとうまくやる。という決意もあります。

退任後にはNew World, Inc.を設立しました。設立じゃない道も模索していたのですが、うまくまとまらなかったので、とりあえずやったことないしやってみっか、と。なんで株式会社なのかというと、とりあえず作ってみたかったから、以外の理由はない、です。次の会社のスタートまでの間(4ヶ月ぐらい)は、この会社名義、といってもほぼ個人事業主として仕事していました。一応会社としてのビジネスプランも考えてはいたのですが、時間的なものもあって結局ほとんど個人事業主的な働き方に終始しました。

こちらは死ぬほど反省点ありますね……。あまり表明するのもアレですが、多分、まぁ、請負で作業するの自分には向いてないんだとは思います……。それ以外にも単純にスキル不足があって、自分が組んできた環境ではなく自由度もそう高くない中でのパフォーマンスチューニング、みたいなことをするための手札があんまなかったですね。こういうスキルって、多分テクニカルサポート(それも高額なプレミア契約の)の人が持つスキルなんでしょうけれど、明らかに自分の手札にはなかったのを自覚しました。ここはもう能力不足だし、あったほうがいいのは間違いないんで、来年は伸ばしていこうかな、とは思ってます。

グラニでのトラブルシューティングは、徹夜で張り付いて空いてそうな時間にサーバー一時的に止まるの強行でダンプ取ったり、本番環境データベース相当のをコピーして好きに実験したり、既に豊富に用意しているモニタリング系システムにクエリ書いたり追加したり、そもそも根本からライブラリを自作のものを開発して取り替えたりと、権限に甘えきったことやってたんで、まぁ世の中そんなイージーモードなわけないぞ、と。そりゃそうだ。会社としてはイージーモードな世界を作るのが大事で、個人スキルとしてはハードモードな世界でやりきれる能力をつけるのが大事。両面から頑張っていきたい。

そして、株式会社Cysharpを設立しました。設立に関する話は←の記事と、Social Game Infoでのインタビューを読んでいただければなのですが、まず、この座組のインパクトはめっちゃあったかな、と!社名もそうですが!大きなことがやれそうな予感があります。来年はそうした予感を実現していくという、チャレンジの年です。会社としてもそれなりな規模にはしていきたいと思っているので、そのへんもやっていければ。

引き続きゲーム関連で勝負をかけるわけですけれど、ゲーム関連から攻めるのがC#にとって一番、あるいは唯一芽があるから、というのも大きくて。私はインターネットで育ってきたので、ウェブに話題が少ない言語や環境って嫌なんですよね、だからエンタープライズで採用伸びてるとか世界的には数字は良いんだとか、そういうの興味なくて。目の前のインターネットの世界で話題になり誰もが使う言語、であって欲しい。C#が。誰もが使い、話題にし、エコシステムが形成され、若い人がどんどん使う。そこへ向かうには、ゲームやUnityと絡めていくことが唯一の道だと思っています(個人的にはXamarinでは無理でしょう、と思ってるので)。そしてそこに対して貢献したいのです。それはMicrosoftやUnityの「外の人」だからこそできることでもある。

C#

UniTask(UniRx.Async)のリリースによるコンセプト実証大規模アップデートによる真の実用化。これはNew Worldとして動き出してちょい過ぎぐらいから作成に着手しました。私の中でこれのリリースには大きな意味があって、New World, Incとしての名刺、つまるところ私自身の自信が欲しかったのです。特にUnity関連においてUniRxは前の世代の話なので、今の世代で絶対の自信を持って薦められるものが欲しかった。そういうものがあると自分にも自信ができるんで、交渉も強気に迫れますからね。

UniTaskはUnityに最適化したasync/await生態系の再発明です。これやりきれる人って世の中いないんで、成果として世の中に存在するのはめっちゃレアなんじゃないでしょーか。と思える程度にはいい感じだと思います。しかし例によってまだバグや機能改善がかなり残っているのに、いったん放置が始まっていて、これは本当に私の悪癖ですね……。来年の抱負は放置しない、です。ほんと。ほんと。

もう一個がMagicOnion v2のリリースで、これはグラニでのやり残したことの一つの消化、という意味合いもあります(技術的にはもう一つやり残したことありますけれど、「まともな」UIライブラリの作成とプラクティスの構築とか)。そして、Cysharpで掲げる「C#大統一理論」のキーパーツですね。応用事例をどんどん作っていきたいます。

また、MagicOnionはリポジトリをCysharp/MagicOnionに移しています。これはメンテしっかりやっていくぞ、の現れですね!他にUniRxやMessagePack for C#などもorgnaization(Cysharpじゃなくて中立的組織)に移したいなあ、とは思ってます。そうした継続的メンテナンス体制を作って、永く行き続けていくものになっていければいいなあ、と。まあカウボーイエンジニアから会社経営者になったわけで、そのへんも世の中によりよい形を、ということで。

パフォーマンスの追求は引き続きやっていきたいテーマで、一旦のまとめをCEDEC 2018で最速のC#の書き方 - C#大統一理論へ向けて性能的課題を払拭すると題して講演しました。こういうのってどのへんまでDeepでDopeに書けばいいのか難しくて、浅瀬ちゃぷちゃぷなんちゃうんちゃうんな思いと戦いつつ、実体験ベースってのもあり良いちゃあ良かったんじゃないでしょうか。

Unity ECSはもっと力入れてやりたかったんですが、ほとんど出来なかったですね。LTドリブン開発だー、と思ったけれどロクにできずMemory Management of C# with Unity Native Collectionsでお茶濁しした程度だったので……。物理エンジンと絡めて、やりたいネタが2年ぐらい前からあって、ECSの登場でまさに最適なプラットフォーム!これでちゃりんちゃりんする!と考えてたのに何も実装できず一年が終わるとは……。来年こそリベンジします。

漫画/音楽/ゲーム/その他…

今年感動したゲームはDetroit: Become Human一択ですねえ、もう全く悩まず。映像も音楽もシナリオもシステムも、あらゆる点で監督(デヴィッド・ケイジ)の神経質そうな(ほんと!)目が行き届いていて、完璧。ただの雰囲気ゲーにならずゲームとしてもちゃんと面白く仕上がっているので、非の打ち所がない(リプレイが面倒くさくてエンディングコンプがダルい問題はありますが、一周+αの体験だけで十分価値あるんで良いんじゃないでしょーか)。

漫画はうめざわしゅん - えれほんがとても良くて、三話(+1)入った短編集で二話目は無料で読めます。とにかくまぁ漫画が上手い。まぁあと古いですが今年読んだんで内田 春菊 - 目を閉じて抱いても。全然古くないというかむしろ今の時代のほうが共感できるんちゃうんちゃうん、と(といっても1994-2000だとそこまで古くもないのかー、いや、古いかー)。

音楽は、今年まぁまぁケンドリック・ラマーの記事を目にしたから(来日で一悶着あったからかしらん)、というわけでもないですが最新作のDAMN、ではなくてその前のTo Pimp A butterflyをよく聞いてました。特に一曲目のWesley’s Theory。もともとこれ作曲してるFlying Lotusが好きというのもありますが、Flying Lotusの手掛けた中でも傑作と思ふ。アルバム全編を貫くストーリーも重たく、比喩も強烈で、言葉の強さを心底叩き込んでくる。そりゃ心震えますよ!

映画は、これも古いですがNetflixで見たニコラス・ウィンディング・レフン - ドライヴが良かった。映像美とバイオレンス!まぁーもうとにかく最高に格好良い。こりゃすげえ、と思わず監督の大ファンになって初期作のプッシャー三部作、これはまぁまぁだったんですが、最新作のネオン・デーモンが……。設定も良い。映像も良い。プロットも悪くない。映画としてはつまらない。というしょっぱい代物に……。脚本と構成が悪いんかなー、もう少しうまくやりゃあ、めっちゃ良くなったはずなのに感で超もったいない……。設定と映像は本当に好みなだけに、あうあうって感じ。何れにせよ次回作あったら見るよ!と思ったら、来年(2019)にAmazon Prime VideoのシリーズとしてToo Old to Die Youngというドラマを撮ってるそうで。日本に来るのかな、Netflixだったら絶対来るはずだけどAmazon Prime Videoだとどうなんでしょ。

Hajime Kinoko写真集「Perfect Red」は、写真集はもちろん、個展とショーも見に行きましたが、圧倒的な空間で。ショーだと、人間の表現として、静と動の中間のような世界なんですよね。例えば、静が彫刻、動がバレエのようなものだったりだとすると、その間。ほとんど止まっているのだけれど、手の動き、顔の表情、そして縄が皮膚に言葉を与えていて。表現としては未成熟というかアングラ感が拭えないですが(決して悪いことではなくそれはそれでいいんですが)、もっと表に出れば出るほど洗練されていくのでは、というわけで来年も見たいですね。

来年は

とにもかくにもCysharpをしっかり始動させます。会社の理念がC#とOSSを中心に、というのもあるので、技術のコミュニティ貢献も引き続き、ですね。そしてメンテやIssueを放置しないという抱負は、ただの意気込みじゃなくて組織的な解決となるよう、具体的に動いていきます。

技術的には、今年は色々な言い訳がありますが、チャレンジがなかったなー、というのは否めないです。UniRx.AsyncもMagicOnion2も延長線上ですから。時間がない中で一定の成果を出すことが必須という状況下だったのでしゃーなし、という言い訳もありますが、来年こそは今までの延長線上にない別のことも手掛けたい、と毎年言ってますが、今年も思います。とりあえずとにかくUnity ECSは絶対やりますから……!

ともあれ、Cysharpの活動にご期待下さい。人も募集ちゅ(します、そろそろ)。です。そろそろお問い合わせフォームぐらいはつけたい。

Comment (0)

Name
WebSite(option)
Comment

Trackback(0) | http://neue.cc/2018/12/30_573.html/trackback

Search/Archive

Category

Profile


Yoshifumi Kawai
Microsoft MVP for Developer Technologies(C#)

April 2011
|
July 2020

Twitter:@neuecc
GitHub:neuecc
ils@neue.cc