Titanium Mobile + Visual Studio用のAPI入力補完vsdoc自動生成T4 Temlate

Titanium Mobileをご存知ですか?私はつい最近知ったばかりです。かなりHotみたいで紹介をよく見るし、はてブでも色々な記事がブクマ数百行ってたりしますが、さっぱり意識していなかったせいで右から左に流れていくだけで名前を覚えていませんでした。が、 【就職先決定】Titanium MobileのAppceleratorに勤めることになりました - @masuidrive blog を見て、ようやくTitanium Mobileの名前と出来ることが一致しました。つまりはJavaScriptでNativeなAndroid/iPhoneアプリケーションが作れて、とってもHotなテクノロジだそうですはい。

ちょっと触った感じコンパイルというかコード変換というか、な部分だけが提供されてるような雰囲気でIDEとかそーいうのは今のところないようで?かしらん。デバッガとかないのかな、printオンリーかしら……。ともあれ、Javascriptということで何で開発してもいいわけですね。エディタですか?ありえない!入力補完のない環境で開発なんて出来ません。デバッガがなくても生きていけますが入力補完はないと生きていけません。

というわけでVisual Studioです。以前にJavaScriptエディタとしてのVisual Studioの使い方入門という記事を書いたように、Visual StudioはJavaScriptエディタとしても最高なのです。さて、では入力補完だ。というわけで捜すとあった。Appcelerator Titanium vsdoc for Visual Studio。へー、確かに動いてるね、簡単だね。以上。

と、まあ興味持った当時はそれで一旦終えたのですが、昨日に【追記あり】「Titanium Mobile1.4」の入力支援をMicrosoft Visual Web Developer 2010 Expressで行う。 - 葛城の日記という記事を見て、そもそも元はjsonとして公式にデータが提供されていてそれを加工したものであること、またその加工っぷりはちょっといま一つであることを知りました。

さて、前置きが長くなりましたが、つまりイマイチなら自分で作ればいいんですね。幸いにもデータは公式で用意してくれているので。

T4でjsonからvsdocを生成する

いつもならドヤ顔でコード張るんですが、ちょっと長いのとC#の話なのでスルー。というわけでコードはBitbucketに置いておきますのでご自由にどうぞ。TitaniumMobileApi-vsdoc.tt。使い方は後ほど説明します。そんなの面倒臭いー、という人は生成済みのほうをどうぞ。TitaniumMobileApi-vsdoc.js。2010/12/10のver1.5.0で生成していますが、どうせVS使うならそんな手間でもないので、.ttで自分で生成するほうをお薦めします。

.ttの使い方

.tt、の前にVisual StudioでのJavaScriptの開発の仕方。ですがJavaScriptエディタとしてのVisual Studioの使い方入門で解説しているのでその通りというわけで省略。

TitaniumMobileApi-vsdoc.ttと、公式サイトにあるAPIリファレンスのJSON(api.json)を同じフォルダに入れて、TitaniumMobileApi-vsdoc.ttを開き保存(Ctrl+S)を押します。するとTitaniumMobileApi-vsdoc.jsが生成されます。オシマイ。

こんな感じに階層が出来て、8000行ほどのjsが生成されているはずです!

さて、では使ってみましょう。適当な名前のjsを作り、reference pathに先ほど生成されたjsを記述。あとはTitanium名前空間から始まるので、ポンポンと書くだけ。

解説付きで引数などなどもバッチシ!

煩わしい大量の定数も、入力補完で一覧が出るので楽ちん!

海外の、Jeremy Meltonさんの作ったvsdocとの最大の違いは、関数での生成後の戻り値のObjectもある程度補完し続けてくれることです。例えばcreateHogeとか。

これ、もとのapi.jsonでは戻り値がobjectとして記載されているため、普通に自動生成するだけだと追随出来ないのです。私はただの機械的な変換ではなく、実用に根ざしたアドホックな対応を施したため、多少は追随するようになっています。

ただし、一点だけ残念なことがあって、プロパティ名にハイフンがつくものは補完に表示されません。例えばMapViewはfont-familyといったプロパティを持つのですが補完に出てきません。これはVisual Studioの仕様というか不具合というか残念な点というか。直るといいです。要望としての報告が出てなければ報告しよう……。と思って要望を出してしまったのですが、そもそもJavaScript的にハイフンのつくのが動くほうがオカシイ!普通は動かん!ということに要望出して30秒後に気づきました。頭がホカホカだったので全然考えが回ってなかったのでする。こういうのって出した直後に頭が冷えて気づきますよね。というわけで、これはむしろTitanium MobileのAPIがオカシイのでは感。そして私は悲しいほどに赤っ恥を書いてしまった、いや、今更一つや二つ、しょうもない恥が増えてもいいんですけど、いいんですけど、恥ずかしすぎるぅ。泣きたい。

余談(T4の話)

配布用なので1ファイルにするためJsonReaderWriterFactoryを生で使って書いてる(ためちょっと冗長)のですが、そうでなければDynamicJson使ってサクッと済ませます。DynamicJsonは楽ですね、ほんと。

あと、T4で困ったのが末尾カンマ。最後の要素だけカンマ不要なわけなんですよねー、これがどう生成したものか困ってしまって。ただの文字列ならstring.Join(",",xs)とかで対応するわけですが、T4だとインデントとかの絡みもあるので、そういうのは使わない方が楽だし綺麗に仕上がる、けれど上手く出来ない!とりあえず今回はこんな対応をしてみました。

// こんなコードを吐く、つまり最後の要素の末尾には","は不要
{
    "anchorPoint": null,
    "animate": true,
    "animatedCenterPoint": null
}    

// こんな拡張メソッド(第二引数のboolは末尾でないか末尾か)
public static void Each<T>(this T[] source, Action<T, bool> action)
{
    for (int i = 0; i < source.Length; i++)
    {
        var hasNext = (i < source.Length - 1);
        action(source[i], hasNext);
    }
}

// T4のView側はこんな感じで、最後に<#= hasNext ? "," : "" #>をつけて対応

<#o.Properties.Each((x, hasNext) =>{#>
    "<#=x.Name #>": <#=x.Value #><#= hasNext ? "," : "" #>
<#});#>

微妙に苦しい感じでしたねえ。こういうのは ASP.NET/ASP.NET MVCではどう対応しているものなのかしらん。全然知らないので誰か教えてくれれば嬉しいです。

まとめ

私はこの手のダミーのvsdoc生成は色々やっていて、linq.jsのvsdocは手作業、RxJSのvsdoc作りはmono.cecilを使ってdllとXMLから結合するConsoleApplicationを作成、などなどで割と手慣れてきました。テンプレートが統合されている点と(printlnってねえ...)更新の楽さ(新しいjsonが出たらそれを放りこんで再セーブするだけ、ある意味T4はC#/VSにおけるLL的スクリプト言語と見ても良いのではないでしょーか)を考えると、T4で作るのがベストな選択に思えます。スタンドアロンで動かしたい場合は"前処理されたテキストテンプレート"も使えますしね。

さて、こうしてわざわざ手間かけて入力補完作る理由ですが、だって補完ないとやる気出ませんから!IDEで楽が出来ないなら楽が出来るよう苦労すればいいぢゃない。そしてIDEに依存するのもまた美徳です。プログラマの三大美徳。楽で何が悪いって?何も悪くないよ!あと、誰か一人が苦労すれば、お裾分け出来るわけなので、先立って作ってシェアしたいところです。

というわけで、Visual StudioでiPhone開発もAndroid開発も幸せになりましょー。個人的にはTitaniumは良いと思いますが、C#で開発できるmonotouchやmonodroidに興味津々ではありますが。んで、何で手を出し始めているかというと、linq.jsを使うシーンを求めてるんですぅー。ふふふ。というわけで、Titanium Mobileな方はlinq.jsもよろしぅお願いします。

Profile

Yoshifumi Kawai

Cysharp, Inc
CEO/CTO

Microsoft MVP for Developer Technologies(C#)
April 2011
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July 2024

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